【取引量を操作】NFTのウォッシュトレードとは?蔓延する水増し行為
NFTの主要な問題・リスクの1つが、ウォッシュトレードです。
ウォッシュトレードとは、取引量の水増しのことで、ブロックチェーンの特性上、NFT取引において横行しています。
この記事では、そんなウォッシュトレードの概要から背景、対策方法などについて解説しています。
この記事のポイント
- ウォッシュトレードは取引量の水増し
- NFTはウォッシュトレードがしやすい
- ウォッシュトレードの対策はリサーチ
- 根本的な解決は難しい
NFTのウォッシュトレードとは?
NFTにおけるウォッシュトレードについて、以下のポイントから解説していきます。
- ウォッシュトレード = 同一人物による取引
- 通常の金融市場では禁止されている
- NFTではウォッシュトレードが横行
ウォッシュトレードの概要をチェックしていきましょう。
ウォッシュトレード = 同一人物による取引
ウォッシュトレードは、同一人物または主体によって行われる取引です。
ウォッシュトレードを行うことによって、何らかの情報操作・市場に対する誤解を招くことを目的とすることが多いです。
同一人物の取引によって、通常の取引量よりも多い取引が記録され、第3者から見た取引量が増加します。
これによって、誘発された通常の取引を行っている方が損失を出す可能性があります。
また、同じ人物・もしくは共謀する主体によって行われた取引で、実際は損失を出していないにも関わらず、損失を偽装するといったことが可能です。
概ね、ウォッシュトレードは何らかの目的で行われる取引量の水増しと言えます。
通常の金融市場では禁止されている
通常の金融市場・伝統的な金融市場では、禁止されていることが多いです。
ウォッシュトレードによって市場が歪められたり、課税逃れを許してしまう可能性があるためです。
また、通常の金融市場は、取引を行った主体を特定することが容易になっています。
金融口座などは個人情報と結びついており、不審な取引を行った口座はそれを管理する人物と結びついているからです。
NFTではウォッシュトレードが横行
一方で、NFTではウォッシュトレードが横行しています。
まず、通常・伝統的な金融市場と比較して、個人の特定が容易ではありません。
NFTの取引を行うのは主にウォレットであり、ウォレットはいくつでもかんたんに生成可能です。
ウォレットは直接的に個人情報と結びついておらず、ウォレットの情報のみから個人を特定することは難しいです。
どのウォレットから取引したのか?は分かりますが、そのウォレットを管理している人物を特定することはできません。
また、後述しますが、NFTにおいてはウォッシュトレードを行うモチベーションがいくつも存在している状態です。
上記のような背景から、NFTにおけるウォッシュトレードが横行している環境になっています。
そのため、ウォッシュトレードはNFT取引時に注意したいポイントの1つになっています。
NFTでウォッシュトレードが蔓延する理由とは?
NFTでウォッシュトレードが蔓延する理由について、以下のポイントから解説していきます。
- トークンの報酬を目的とするもの
- 取引量の水増しを目的とするもの
- NFTの価格操作を目的とするもの
あくまで一例になりますが、ウォッシュトレードの背景を押さえていきましょう。
トークンの報酬を目的とするもの
もっとも代表的な背景として挙げられるのは、トークンの報酬や何らかのインセンティブを期待したものです。
NFTや仮想通貨の業界では、トークンの発行を行う際にコミュニティや利用者に分配することが慣例として存在しています。
NFTの文脈においては、NFTマーケットプレイスなどがトークンの発行・分配を行います。
利用者がもらえるトークンの数は、利用率・アクティブ度によって左右されることが多いです。
そのため、より取引を行ったウォレットに対して、多くのトークンが配布されます。
ウォッシュトレードによって、ウォレットが行った取引量の水増しを行うことで、上記の報酬をたくさん獲得できることになります。
取引量の水増しを目的とするもの
シンプルに、ウォッシュトレードによって取引量の水増しを目的としたケースも見られます。
というのも、NFTマーケットプレイスでは、取引量の多いNFTコレクションをトレンドなどに掲載します。
トレンドに掲載されることで、NFTコレクションを人目に付きやすい場所に表示可能です。
これによって、自身のNFTコレクションに人を呼び込めます。
また、取引量の多いNFTは、利用者に安心感を与えることが可能です。
これが悪意のある主体に利用されると、詐欺被害などに繋がります。
NFTの価格操作を目的としたもの
NFTの価格操作を目的としたケースもあります。
ウォッシュトレードを行う際に、自身のNFTを100万円で売買したと仮定します。
この場合、自身が保有しているNFTには100万円で売買された記録が残る状態です。
第3者から見ると、100万円で取引されたNFTというのは魅力的に映るでしょう。
こういった手法を用いることで、NFTの表面的な価格操作が可能です。
NFTのウォッシュトレードは解決可能か?見分ける方法
ウォッシュトレードは解決可能か?という観点について、以下のポイントから解説していきます。
- ウォッシュトレードの解決方法
- 現時点で完璧なソリューションは用意されていない
ウォッシュトレードから自身の身を守る方法を押さえていきましょう。
ウォッシュトレードへの解決方法
ウォッシュトレードへの解決方法として、いくつか対策・提案されがちなのは以下のようなものです。
- チェーン上でウォレットのやり取りを閲覧
- 価格、取引量の履歴
- SNSのチェック
まず、チェーン上のやり取りを閲覧することで、同じウォレット間が取引が頻繁に行われていないか?といった点を確認可能です。
また、関連するウォレット間で、送金があった場合などはウォッシュトレードの危険性が上がります。
価格・取引量の履歴については以前までの取引と比較して、著しく価格や取引量が伸びている場合は、ウォッシュトレードの可能性があると考えられます。
SNSをチェックするのも有効です。
取引量・価格が高いにも関わらず、フォロワーが少ない・もしくはアカウントが存在しない場合は、ウォッシュトレードの可能性が上がります。
現時点で完璧なソリューションは用意されていない
ただし、前述したような対策は回避できます。
ウォッシュトレードを行う主体が手段を複雑にしたり、コストをかけることで解決可能です。
例えば、SNSのフォロワーは売買可能です。
実際に仮想通貨関連SNSでは詐欺アカウントに大量のフォロワーが付いていることも珍しくありません。
オンチェーンでの追跡や価格・取引量に関しても、あくまで参考程度の情報にしかなりません。
ウォレットの匿名性が担保されている以上、根本的な解決が難しい問題です。
そのため、NFTやブロックチェーン上での取引には、常にリスクが潜んでいるという認識が必要です。
NFTのウォッシュトレードについてまとめ
この記事では、NFTのウォッシュトレードについて解説しました。
NFTは、ブロックチェーンの魅力の1つである匿名性というポイントが大きな障害となっている問題です。
そのため、ブロックチェーンの特性上、完全には見分けられません。
ただし、前述したような方法でリサーチは可能なので、できるだけリスクを避けていきましょう。