ERC1155とは?特徴やERC20・ERC721との違いを徹底解説!
NFTの売買やブロックチェーンゲームをしていると、ERCという単語を見る機会は多いです。
ERC20やERC721、ERC1155など、多くの種類を目にします。
本記事では、Ethereumチェーンのトークン規格、ERC1155を紹介します。
ERC1155の特徴や、他のERC規格との違いを解説しますので、ぜひ最後まで記事を読んで下さい。
ERC1155とは?
ERC1155とは、Ethereumチェーンのトークン規格の1つで、2019年にEnjin Coin(ENJ)の開発チームが提案しました。
トークン規格とは、仮想通貨やNFTの発行時に使用する統一ルールです。
トークン規格を統一すると、Ethereumチェーンに対応するウォレットやマーケットプレイス、Dapps(分散型アプリ)で使用できます。
Ethereumチェーンには多くのトークン規格があり
- ERC20
- ERC721
- ERC1155
などが有名です。
ERC規格の3つのトークン
ERC20は、Ethereumチェーンと互換性のある仮想通貨を発行できる規格です。
米ドルの価格と連動するステーブルコインのTether(USDT)や、USD Coin(USDC)も、ERC20で発行されています。
ERC721は、NFTの発行に適したトークン規格で、すべてのトークンに固有のIDを割り振れます。
NFTの特徴である、唯一無二の価値を持たせることが可能です。
ERC1155は、ERC20とERC721の特徴を兼ね備えたトークンです。
1度の取引処理で、複数のトークンを送信できます。
トレーディングカードのNFTや、ブロックチェーンゲームのアイテムなどはERC1155を採用することが多いです。
ERC1155がよくわかる4つの特徴・メリット
ここでは、ERC1155の特徴とメリットを4つにまとめました。
- 複数のトークンを1度に送信できる
- 送信手数料を削減できる
- 複数のプラットフォームで利用できる
- 個人でも開発にかかわれる
詳しく解説します。
複数のトークンを1度に送信できる
ERC1155は、1度の取引処理で複数のトークンを送信できます。
具体的には
- ERC1155規格の通貨とトークンをまとめて送信
- 複数のNFTをまとめてマーケットプレイスに出品
- 1度の取引処理で複数の相手に通貨やNFTを送信
以上の使い方ができます。
複数の友人へ1度にトークンを送信できるので、作業時間の短縮が可能です。
ひとつ注意点があり、ERC20やERC721規格のトークンとERC1155規格のトークンは、まとめて送信できません。
ERC20とERC721規格のトークンを1度に送信する場合は、トークンごとに取引所理をおこなってください。
送信手数料を削減できる
ERC1155規格のトークンはまとめて送信できるので、送信時に必要な手数料を削減できます。
仮想通貨やNFTの送信時には手数料が必要で、多くのユーザーが利用する時間帯は手数料が高いです。
ここでは、NFTを10点送信するときの手数料をシミュレーションしてみましょう。
1度の取引処理で支払う手数料が500円の場合、ERC721規格であれば10回送信手続きをするので、手数料が5,000円かかります。
ERC1155規格のNFTであれば、10点まとめて送信できるので、支払う手数料は500円です。
送信するNFTの数が多くなるほど、ERC1155を利用するメリットがあります。
複数のプラットフォームで利用できる
ERC1155は、複数のプラットフォームで利用できる規格です。
仮想通貨やNFTを管理する場合をみると
- MetaMask
- Trust Wallet
- Enjin Wallet
など、多くのウォレットに対応しています。
NFTを売買するマーケットプレイスでは、OpenSeaやRaribleに出品でき、複数のプラットフォームで同じように扱えます。
ウォレットやマーケットプレイスは、今後も新しいサービスが出てくるので、統一規格で利用できるERC1155の利便性は高いです。
個人でも開発にかかわれる
ERC1155は、プログラムのコードが公開されており、個人でも開発にかかわれます。
トークンの規格やルールなどは、世界中の人々がプログラムコードやデータを保存するGitHubで公開されています。
また、ERC1155の概要や使用例もすべて公開されており、使いづらい部分があれば改善提案の提出も可能です。
ERC1155の注意点・デメリット
ERC1155は、送信手数料の削減や複数のトークンを1度に送信できるなど、さまざまな特徴やメリットがあると解説しました。
ここからは、ERC1155の注意点やデメリットについて解説します。
ERC1155のトークンは必ずしもNFTであるとは限らない
ERC1155はNFTとFTのどちらでも発行できるため、必ずしもトークンがNFTであるとは限りません。
NFT(Non Fungible Token / 非代替トークン)は、一つしか存在しないユニークなトークンで、アートやゲームなどに使われます。
FT(Fungible Token / 代替可能なトークン)とは、交換できるトークンのことで、よくあるのは仮想通貨としての利用です。
ERC1155では、同じトークンを複数作れるため、NFTかFTかは発行者やプラットフォームによって判断されます。
NFTだと思って取引したら、実は複数発行してあったということも考えられるので、取引前に規格やコントラクトアドレスなどの確認が重要です。
ERC1155の今後・将来性
ERC1155の今後や将来性について、以下の2点を解説します。
- ERC1155によりブロックチェーンゲームの可能性が広がる
- MetaMaskがERC1155をサポートする
ERC1155によりブロックチェーンゲームの可能性が広がる
ERC1155により、ゲーム開発やアセットの取引がより効率的になります。
これまではゲームアイテムを送信(取引)する場合、ゲームアイテムを個別に送信する必要がありました。
ERC1155を使えば、ゲーム内通貨やキャラクター、アイテムなどのトークンを一つのスマートコントラクトで管理できます。
このことから、ゲームのキャラやアイテムを1つにまとめたパック販売などに活用可能です。
さらに、トークンの送信にかかるコストや手間も削減できるため、開発側、ユーザー側両者にメリットがあります。
ERC1155は、今後ブロックチェーンゲームの可能性を広げる革新的な規格です。
MetaMaskがERC1155をサポートする
トークンを管理するウォレットアプリのMetaMaskではERC1155の受信、保存、表示ができますが、送信はできません。
そのため、ほかのプラットフォーム(OpenSeaなど)を利用して送信可能です。
今後MetaMaskでの送信機能が実装される予定なので、ERC1155の利便性はさらに向上します。
※2023年5月現在
ERC1155を採用したNFTを紹介
ERC1155規格を採用したNFTを紹介します。
ユーザーへ無料で配布されるNFTや、トレーディングカード、ブロックチェーンゲームに使用するNFTでの活用事例が多いです。
CNP Makimono
国内の人気NFTコレクション、CryptoNinja Partnersに関連する「CNP Makimono」は、ERC1155規格を採用しています。
CNP Makimonoは2023年3月に無料で配布されたNFTで、抽選で当選したユーザーが取得できました。
NFT同士の合成やメタバースでの土地の入手に使用でき、ゲーム性の高いNFTです。
NBA Top Shot
NBA Top Shotは、トレーディングカードのコレクションを楽しむNFTです。
アメリカのプロバスケットボールリーグ「NBA」の、人気選手の動画がNFTとなっています。
1度に複数のカードが購入できるので、ERC1155規格との相性はよいです。
ERC1155のまとめ
ERC1155の特徴やERC20・ERC721との違いを解説しました。
1度に複数のNFTが送信でき、取引処理や手数料の削減ができるトークン規格です。
Ethereumのトークン規格「ERC20」を解説した記事もありますので、あわせて読むことをおすすめします。
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