レイヤー1とレイヤー2の違いとは?ブロックチェーンの課題や関係性を解説
ブロックチェーンを利用した取引は数多く存在しており、近年はNFTやDeFi領域の取引が増えています。
しかし、クリプト人口が増える一方で、ブロックチェーンの階層である「レイヤー1」と「レイヤー2」の違いを理解している方はそれほど多くないでしょう。
そこで今回は、レイヤー1とレイヤー2の違いをわかりやすく解説していきます。初心者の方でもわかるように噛み砕いて説明するので、ぜひ最後までご覧ください。
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レイヤー1とは
レイヤー1とは、ビットコインやイーサリアムなどのメインのブロックチェーンのこと。いわゆる土台の部分であり、レイヤー1の上にレイヤー2などの階層が重なっているようなイメージです。
レイヤー1では、トランザクション(取引)の検証やブロック生成が行われています。作業は
各マイナーによって分散的に行われるので、中央のサーバーが無くても取引が完了する仕組みです。
以上のように、レイヤー1はブロックチェーンの基盤として機能していますが、同時に課題も抱えています。
レイヤー1の課題は「スケーラビリティ」
レイヤー1の課題は、スケーラビリティ(拡張性)の欠如です。スケーラビリティはユーザーにとっての「使いやすさ」に関わる部分なので、欠如していると様々な問題を引き起こします。
例えばレイヤー1の代表格であるイーサリアムは、2020年のDeFiバブル、2021年のNFTバブルに伴って利用人口が急激に増加しました。その結果マイナーの処理が追い付かなくなり、「取引スピードの遅延」や「手数料の高騰」などの問題が起こっています。
レイヤー1では「分散性」や「セキュリティ」を成立させている代わりに、「スケーラビリティ」が欠如しているのです。
レイヤー2とは
レイヤー2は、レイヤー1におけるスケーラビリティ問題を解決するための技術です。別名「セカンドチェーン」とも呼ばれており、レイヤー1の手助けをするための階層となります。
つまり、レイヤー1では重くなるような処理でも、レイヤー2ではスムーズに進められるということです。
また、レイヤー2には「オフチェーン」と「オンチェーン」の2つタイプがあります。
オフチェーンでは、メインブロックチェーンの外部で処理を行います。ブロックチェーン以外の方法で取引を行い、取引データの最初と最後だけをブロックチェーンに戻す仕組みです。
一方のオンチェーンでは、ブロックチェーン上で処理を行います。ブロックチェーンの技術を使用しているので、記録したデータの改ざんはほぼ不可能です。
なお、当初はオフチェーンがほとんどでしたが、最近はオンチェーンのレイヤー2も増加傾向にあります。
レイヤー2の代表例
レイヤー2にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。
代表的なレイヤー2の種類は以下のとおり。
- ライトニングネットワーク
- ライデンネットワーク
- Plasma
順番に見ていきましょう。
ライトニングネットワーク
ライトニングネットワークは、時価総額1位のビットコインに使われているレイヤー2技術です。ブロックチェーンの外で取引する「オフチェーン」のレイヤー2であり、ビットコインの送金速度や決済効率を向上させるために誕生しました。
具体的には「ペイメントチャネル」という仕組みを採用しており、マルチシグ(複数署名)の技術を使うことでビットコインの性能を高めています。
例えばAさんとBさんがBTCを取引したいと考えた場合、通常であれば1回の取引で1回しか送金はできません。しかし、ペイメントチャネルを使うと複数回の送金が可能になり、履歴は一度にまとめて記録されます。
ライトニングネットワークはオフチェーン取引なので手数料もかからず、トランザクションの減少により取引速度も上がるのがメリットです。
ライデンネットワーク
ライデンネットワークは、イーサリアムを対象としたレイヤー2技術です。基本的には上記で紹介したライトニングネットワークと同じ仕組みで、イーサリアムのスケーラビリティ問題の解決を目的としています。
ライデンネットワークを使用することで送金スピードや決済性能が向上するのはもちろん、オフチェーン取引で履歴が残らないので、プライバシー保護につながるのがメリットです。
Plasma
Plasmaは、イーサリアムを対象とした「オンチェーン」のレイヤー2技術です。上記で紹介した2つとは違い、ブロックチェーン上で取引を行います。
Plasmaは、スマートコントラクトを使ってイーサリアムの容量を増やすことを目的に開発されました。スマートコントラクトとは、事前に設定したルールに従って、契約が自動的に執行されるシステムです。
Plasmaの実装によってイーサリアムの利便性は格段にアップし、DeFiやNFTのメインブロックチェーンとして利用されるまでに成長しています。
レイヤー2のデメリット・課題
レイヤー2は、レイヤー1のスケーラビリティ問題を解決するレイヤーですが、デメリットや課題もあります。
以下の3つがデメリットと課題です。
- 透明性が低くなる
- セキュリティに脆弱性がある
- 利便性を損なう可能性がある
以上について解説します。
透明性が低くなる
パブリックブロックチェーンのレイヤー1では、すべての取引が公開され、誰でも閲覧できます。
レイヤー2の場合は、オフチェーンで取引して最後の取引結果だけを保存する仕組みです。取引中の記録はブロックチェーンに保存されず、取引の内容が外部から見えないため透明性が低いと言えます。
もし、レイヤー2で不正な取引が行われた場合、メインネットワークであるレイヤー1ではその取引を検知できません。また、レイヤー2の運営者や参加者が不正にデータを改ざんしたり、隠蔽したりする可能性もあります。
以上のことから取引記録の透明性が低くなり、信頼性や安全性が低下する点がレイヤー2のデメリットであり、今後の課題です。
セキュリティに脆弱性がある
レイヤー2はセキュリティに対して脆弱性があると指摘されています。
例えば、ライトニングネットワークは、大量の攻撃によって混雑を引き起こして、損害を与えることが可能であるという論文がイリノイ大学の研究者によって発表されました。
このように、レイヤー2はブロックチェーンのスケーリング問題に対する有望な解決策ですが、まだ完全ではなくセキュリティ面での改善や検証が必要です。
利便性を損なう可能性がある
レイヤー2では、利便性を損なう可能性があります。
例えば、オンチェーン型のレイヤー2の場合、不特定多数の人によって運用されているため、不正が起こらないかの監視が必要です。
この監視にはブロックチェーンの取引記録を全てダウンロードする必要があり、多くの時間やコストを必要とします。取引記録を監視する手間が多くなり、容易ではないため、利便性を損なう可能性があるということです。
以上のように、レイヤー2はメリットも多い一方で、さまざまなデメリットや課題も抱えています。レイヤー2は、ブロックチェーンの課題を解決する有望な技術ですが、完璧ではありません。よって、レイヤー2の利点と欠点の理解が重要です。
レイヤー2が必要ないブロックチェーン
レイヤー2はスケーラビリティ問題を解決できる技術ですが、レイヤー2が必要ないブロックチェーンも注目されています。
例えば、ポルカドット(Polkadot)やソラナ(Solana)はレイヤー2を利用せずに、スケーラビリティ問題を含むトリレンマ問題の解決を目指しているブロックチェーンです。
ポルカドット(Polkadot)の場合
ポルカドット(Polkadot)は、異なるブロックチェーンをつなげて相互運用性(インターオペラビリティ)の強化を目指すプラットフォームです。
レイヤー1に相当するメインチェーン(リレーチェーン)と、レイヤー2に相当するサブチェーン(パラチェーン)があり、両方のチェーンが連携できます。
メインチェーンだけでなくサブチェーンなどでもデータ処理することで、シャーディングやパラレル処理を実現し、結果的にスケーラビリティを高めることが可能です。
ソラナ(Solana)の場合
ソラナ(Solana)は、スマートコントラクトを実装し、イーサリアム(Ethereum)と競合するブロックチェーンです。秒間5万回のトランザクションを処理できるという高速性と、低い取引手数料を特徴としています。
独自の合意形成システムであるプルーフ・オブ・ヒストリー(PoH)によって、トランザクションを効率的に検証できます。このことからレイヤー1だけで高いパフォーマンスと低コストを実現可能です。
レイヤー2とサイドチェーンの違い
レイヤー2とサイドチェーンは、どちらもブロックチェーンの性能向上や拡張に関連する技術ですが、その仕組みや特徴は異なります。では、レイヤー2とサイドチェーンの違いは一体なんでしょうか。
ポイントとなるのは以下の2つです。
- オンチェーンかオフチェーンか
- 同じブロックチェーンか別のブロックチェーンか
以上の2つについて解説します。
オンチェーンかオフチェーンか
1つ目はオンチェーンかオンチェーンかです。
レイヤー2の場合、オフチェーンで取引するため、取引のプロセスは記録されずに、取引結果のみが記録されます。最近では、Plasmaなどオンチェーン型のレイヤー2も増加中です。
一方、サイドチェーンの場合は、オンチェーンで取引する仕組みとなっています。
同じブロックチェーンか別のブロックチェーンか
2つ目は、同じブロックチェーンか違うブロックチェーンかです。
レイヤー2は、レイヤー1上に作られる層のことで、処理能力など向上を目的として追加されます。そのため、同じブロックチェーンレイヤー2は同じブロックチェーンです。
一方、サイドチェーンは、メインチェーン(レイヤー1に相当)とは別の独立したブロックチェーンで、メインチェーンとは別のルールや機能を持ちます。
まとめ
本記事のまとめは以下の通りです。
- レイヤー1は取引検証やブロック生成を行うメインのブロックチェーン
- レイヤー1は「取引スピードの遅さ」や「手数料の高騰」などの問題を抱えている
- レイヤー2はレイヤー1のスケーラビリティ問題を解決するための技術
- レイヤー2には「オフチェーン」と「オンチェーン」の2つのタイプがある
- レイヤー2にはデメリットや課題もある
- レイヤー2を必要としないブロックチェーンがある
- レイヤー2とサイドチェーンは目的は同じだが、仕組みは異なる
レイヤー1とレイヤー2の関係性を把握すると、次に期待できる銘柄も予測しやすくなります。例えば直近では、Optimism(オプティミズム)やDYDX(dYdX)などの優秀なレイヤー2銘柄の需要が高いです。
レイヤー1銘柄との関係性を元に、有望なレイヤー2銘柄をぜひ探してみてくださいね。
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