P2P(ピアツーピア)とは?メリット・デメリットや活用事例を解説

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P2Pは、仮想通貨のビットコイン(BTC)に活用されている通信方式です。
身近な例だと、通信アプリの「LINE」にも活用されており、近年注目度が増している通信技術となります。
今回はP2Pの概要やメリット・デメリット、活用事例を初心者向けにわかりやすく解説していくので、ぜひ参考にしてください。

P2Pとは

P2P(ピアツーピア)は、Peer to Peerを略した言葉です。意味合いとしては「インターネットに接続しているコンピュータ同士が、対等にデータを共有する通信方式」を指します。

P2Pを詳しく解説する前に、まずは従来の通信方式である「クライアント・サーバー方式」を解説します。

クライアント・サーバー方式では、データを保管しているサーバーに対し、多数のクライアント(データを要求する端末)がアクセスしている構図となります。

クライアント・サーバー方式では、サーバーがデータを一括管理しているため、情報の所在が明確になるのがメリットです。しかし、サーバーにデータが集中していることから負荷に耐えられず、サーバーがダウンしてしまう問題を抱えています。

一方の「P2P方式」は、不特定多数のコンピュータがサーバーを介さずにデータのやり取りをする通信方式です。コンピュータ同士に上下関係はなく、対等にデータを共有することができます。

P2P方式は、中央に管理者を持たない「自律分散型」の通信方式となっており、柔軟なデータの送受信を可能にしています。

ただし、P2Pは2000年代初頭に普及し始めた技術であり、全体的にはクライアント・サーバー方式を採用しているサービスの方が多いです。

P2Pのメリット

P2Pのメリットは以下の4つです。

  • いつでも通信が可能
  • 匿名性が高い
  • 低コストでシステムを構築できる
  • 高速通信を実現できる

それぞれ見ていきましょう。

いつでも通信が可能

従来の通信方式である「クライアント・サーバー方式」は、中央にあるサーバーがデータを大量に管理する通信方式です。サーバーには他のコンピュータからのアクセスも大量に集中するため、負荷がかかりすぎると「サーバーダウン」を起こしてしまうケースがあります。

一方、P2P方式では複数のコンピュータに処理を分散させており、データの集中を防止しています。そのため、コンピュータに負荷がほとんどかからず、システム全体が落ちてしまうことはまずありません。

P2P方式は、サーバーダウンが起こらず、いつでも通信が可能な「ゼロダウンタイム」を実現しています。

匿名性が高い

P2Pでは不特定多数のコンピュータにデータが分散されているため、すべての情報が把握されることはほとんどありません。

サーバーを介した通信方式では、中央にあるサーバーがハッキングされると全ての情報を抜き取られてしまいます。一方、P2Pはサーバーが存在しないため、仮にハッキングされたとしても個々のコンピュータにある情報のみの被害で済みます。

P2Pは、プライバシーを保護するシステムとして非常に優秀であり、匿名性の高い通信方式と言えるでしょう。

低コストでシステムを構築できる

P2Pは複数のコンピュータを接続させた自律分散型の通信方式なので、中央管理者であるサーバーを用意する必要がありません。

サーバーの購入費や運営費などのコストがかからないため、低コストでシステムを構築できるのがメリットです。

高速通信を実現できる

従来のクライアント・サーバー方式では、データ量が膨大なときに通信の遅延がたびたび発生します。

サーバーの一極管理になっており、処理が順番待ちになるからです。

一方、P2Pではサーバーを介さずコンピュータ同士でデータを処理するため、サーバー待ちの渋滞が起きません。

データの一極集中を回避し、高速通信を実現しているのがメリットです。

P2Pのデメリット

P2Pのデメリットは以下の2つです。

  • 接続先にセキュリティリスクがある
  • データ処理に時間がかかる場合がある

それぞれ解説していきます。

接続先にセキュリティリスクがある

P2Pは個々のコンピュータ同士が直接データをやり取りするため、接続先のセキュリティに問題があると直接被害を受けてしまう可能性があります。

また、仮にウイルスが侵入してきた時にどのコンピュータから侵入してきたのかを特定するのが困難であり、ウイルスが全体に広がりやすいのもデメリットです。

データ処理に時間がかかる場合がある

P2Pは、多数のコンピュータをインターネット上で接続する通信方式です。

そのため、接続しているコンピュータの数が増えすぎると、データの処理に時間がかかってしまう場合があります。

P2Pの種類・タイプ

ここでは、P2Pの種類・タイプを3つ紹介します。

  • ピュアP2P
  • ハイブリッドP2P
  • スーパーノード型P2P

それぞれ仕組みが異なるので、順番に見ていきましょう。

ピュアP2P

ピュアP2Pは、これまで紹介してきたP2Pと同意義です。多数のコンピュータ同士が接続し、データを共有する一般的な方式といえます。

各端末の機能はすべて同じで、それぞれが情報を分け合って協力処理をしているのが特徴です。

実用化にあたって複雑な技術は不要なので、運用しやすいメリットがあります。

ハイブリッドP2P

ハイブリッドP2Pは、中央サーバーとコンピュータをかけ合わせた方式です。

通信は各コンピュータが行いますが、データはサーバーで一括管理します。

各端末はサーバーにデータをあらかじめ保管しておき、必要な時にサーバーに問い合わせる仕組みです。

サーバーに情報が集中するため管理・制御がしやすかったり、通信効率が上がったりするのがメリットといえます。

しかし一方で、実用化するためには、大量のデータを管理するためのハイスペックなサーバーを用意しなければいけません。

また、中央サーバーがダウンするとシステム全体が停止に追い込まれる「単一障害点」があるのも弱点です。

スーパーノード型P2P

スーパーノード型P2Pは、特定の優れたコンピュータ(スーパーノード)が情報を分散管理する方式です。

その他のコンピュータは、検索情報を保持しません。

選ばれたコンピュータは処理性能や安定性が高く、データの分散処理によってシステム全体の負荷を軽減しています。

P2Pと仮想通貨の関係

P2Pは、仮想通貨の基盤である「ブロックチェーン」に活用されています。

ブロックチェーンとは、データが入ったブロックを1本の鎖(チェーン)のように連結し、情報を管理する技術です。

ブロックに入っているデータを書き換えようとすると前後との接続ができなくなるため、改ざんを防止しやすい技術として知られています。

P2Pの分散性をブロックチェーンに活用することにより、単一障害点がなく、トラストレスな管理体制を構築できています。

関係性としては、P2Pで情報を通信し、ブロックチェーンでデータを管理しているイメージです。

P2PはもともとIT分野で使われていましたが、ブロックチェーンおよびビットコインの誕生により、現在は金融などの様々な分野に応用されています。

P2Pの活用事例

P2Pが実際に活用されている事例として、以下の6つを解説していきます。

  • ビットコイン(BTC)
  • LINE
  • スカイプ
  • P2P保険
  • プレイステーションポータブル(PSP)
  • Teams・Zoom

それぞれ見ていきましょう。

ビットコイン(BTC)

仮想通貨の代表格であるビットコイン(BTC)は、P2Pの技術を採用しています。

具体的には、ビットコインを送金する際に発行されるトランザクション(履歴)をマイニングで計算し、ブロックチェーンの分散台帳に記録される際にP2Pが利用されています。

P2Pが台頭する以前は、お金の管理は中央にあるサーバーが管理するのが基本でした。

しかし、ビットコインがブロックチェーンとP2Pをかけ合わせたことにより、新たな管理方法として世界中から注目されています。

LINE

日本の大手通信アプリ「LINE」にもP2Pの技術が活用されています。

具体的には、写真や動画を友だちと共有する仕組みにP2Pが導入されており、サーバーを介さない共有が可能です。

LINEでは、ユーザーのアカウント情報などは中央のサーバーで管理していますが、データファイルなどはサーバーを介さないP2P方式によって成立しています。

スカイプ

P2Pの活用事例として、有名通話アプリのスカイプ(Skype)も挙げられます。

スカイプでは、サーバーに負荷がかかりやすい通話やファイル共有の部分にP2Pを活用していました。

しかし、2005年にはMicrosoft(マイクロソフト)社に買収され、現在はP2Pが使われていません。

P2P保険

P2P保険とは、1つの保険を加入者同士のグループで購入する新しい保険の形です。

2020年に保険スタートアップ企業のジャストインケースが、日本初の「わりかん保険」というP2Pのがん保険を発売しました。

P2P保険は、保険料の後払いや保険金の支払いの詳細が公開される特徴があります。

保険会社の利益や運用が不透明な通常の保険と違い、透明性が高い保険加入が可能です。

プレイステーションポータブル(PSP)

P2P(ピアツーピア)を利用したゲームの一例が、プレイステーションポータブル(PSP)のモンスターハンターです。

PSPのアドホックモードという機能を使って、近くにあるPSP同士が通信して繋げると一緒に遊べます。

また、MMORPGという多人数が同時に参加するオンラインRPGでは、クライアント・サーバー型が一般的です。

Teams・Zoom

Web会議サービスのTeamsやZoomというアプリでは、P2Pを活用してビデオ会議ができます。

Teamsでは、1対1のときにP2Pで1080pの高画質な映像で会話が可能です。

3人以上の会話の場合は、クラウド上のサーバーを経由するため720pが上限となり画質が低下します。

Zoomも同じように、1対1の会話のときはP2Pネットワークを利用可能です。

3人以上の場合は、Zoomのクラウドj上のサーバーが使用されます。

P2P(ピアツーピア)を使った「ファイル共有ソフト」の危険性

P2Pを利用した「ファイル共有ソフト」を使うと、パソコンにあるファイルをほかのユーザーと共有可能です。

ただし、ファイル共有ソフトにはリスクがあります。

主なリスクは、次の二つです。

  • 情報漏洩のリスク
  • 著作権侵害のリスク

情報漏洩のリスク

情報漏洩とは、公開するつもりのないファイルがインターネットに流出してしまう事象を指します。

ファイル共有ソフトは、パソコン内の情報がインターネットに公開されている状態です。

そのため、ウイルスに感染したり設定ミスをしたりすると、個人情報や機密情報が漏れてしまいます。

また、1度インターネットに流出したファイルは、完全に消去できません。

情報漏洩の被害を防ぐためには、ファイル共有ソフトの使用を控えましょう。

著作権侵害のリスク

著作権侵害とは、他人の作品を無断で利用する行為です。

ファイル共有ソフトを使うと、他人の音楽や漫画などの作品を無断でダウンロード、アップロードができてしまいます。

多くの作品が著作権で保護されているにもかかわらず、無視したやり取りが過去にも大きな問題となりました。

法律に違反するだけでなく、作品の作者や出版社などの権利者に対しても不正な行為です。

著作権侵害に関与した場合、損害賠償などの法的責任を負う可能性があるので十分ご注意ください。

P2Pに関するよくある質問と回答

最後に、P2Pのよくある質問に対して回答します。

  • P2PとWinnyの関係は?
  • P2P取引に対応している取引所はどこ?
  • P2Eはどんな意味?

疑問を抱えている方は、それぞれ確認していきましょう。

P2PとWinnyの関係は?

Winnyは、P2Pを活用したファイル共有ソフトです。2002年に、東京大学の特任助手だった「金子勇氏」によって開発されました。

具体的には、P2Pの技術を活用して匿名性の高いデータファイルの共有ができるソフトです。

利便性の高さから日本国内で急速に広まり、ACCS(一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会)によると、2006年には国内で約50万人が利用していたと言われています。

しかし、著作権を無視して映画や音楽などを共有する行為が横行したことから、逮捕者が相次いで社会問題になりました。

そのため、Winnyは良くも悪くもP2Pの認知度を広めたソフトと言えます。

P2P取引に対応している取引所はどこ?

P2P取引に対応している取引所は多数ありますが、代表例は以下の3つです。

P2P取引は、主に海外の仮想通貨取引所で行えます。

日本円で仮想通貨を直接買いたい方は、上記の海外取引所を利用してみましょう。

P2Eはどんな意味?

P2Eは「Play to Earn」の略称で、日本語だと「遊んでお金を稼ぐ」という意味です。

具体的には、ゲームやサービスをプレイし、獲得したNFTや仮想通貨を日本円に換金して稼ぎます。

P2Eの詳細は以下の記事で解説しているので、参考にしてください。

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まとめ

今回はP2Pの概要やメリット・デメリット、活用事例を解説しました。

P2Pは不特定多数の端末をネットワーク上で接続し、相互にデータをやり取りする通信方式です。サーバーを介さずに通信をおこなえるため、サーバーダウンなどの心配がなく、いつでも通信が可能となっています。

P2Pはビットコイン(BTC)などの世界的なテクノロジーにも活用されているため、今後さらに活用事例は増加していくと考えられます。

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