OP Stackとは?OP Stackとスーパーチェーンはなにを目指しているのか
OP Stackとは、さまざまなロールアップを開発する上でのリソースをまとめて提供するプロジェクトです。
OP Stackをベースにしたプロジェクトやその群がまとめったネットワークがスーパーチェーン構想であり、Baseといった著名なプロジェクトが出てきつつあります。
この記事では、そんなOP Stackの概要やプロジェクト例、類似のプロジェクトとの比較などを解説しています。
この記事のポイント
- OP StackはORUの開発をサポート
- OP Stackベースのチェーンがスーパーチェーン
- BaseなどがOP Stackを元に登場
- 競合や類似性の高いプロジェクトも見られる
OP Stackとスーパーチェーン構想
これから、OP Stackとスーパーチェーン構想の概要について、以下の2点から解説していきます。
- OP Stackの概要
- スーパーチェーンの概要
両者の主要なポイントをチェックしていきましょう。
OP Stackの概要
OP StackとOP Stackをベースにしたスーパーチェーンは、Optimismによって推進されているトピックです。
Optimismは、主要なORU(OPのL2ロールアップ)であるOP Mainnetを運用しています。
OP Stackは、ORUを開発・ローンチするために必要なリソースと要素が集約されたセットです。
OP Stackを活用することで、新たにORUを展開するハードルが低下し、ロールアップの開発を容易にできます。
後述しますが、すでにいくつかOP Stackを活用したORUも登場しつつあります。
スーパーチェーンの概要
スーパーチェーンは、OP Stackをベースに構築されたOPチェーンと呼ばれるチェーンや、それらを包括するネットワークのことです。
OP Stackを元に、さまざまなコアとなる機能が共有されたブロックチェーン郡を、スーパーチェーンとして構築していくことを目指しています。
しかし、スーパーチェーン構想はまだ完全に実現しているものではなく、公式のドキュメントでも今後方向性が変化していく可能性が指摘されています。
結局、OP Stackはどんなプロジェクトなのか
OP Stack・スーパーチェーン構想は、何らかの特定のチェーンを指すものではありません。
どちらかというと、さまざまなORUを開発する上で、ツール・インフラや土台となる存在です。
いくつかのL1やロールアップは「アプリチェーン」「固有チェーン」「L3」「モジュラー」といった概念を、提唱しています。
上記のような点を提唱するプロジェクトの厳密な定義・仕組みは、各トピックによって異なります。
しかし、概ね「多様なブロックチェーンを、用途に合わせて容易な展開を可能にしていく」という点では一致しています。
OP Stackは、そういった点にフォーカスしているプロジェクトの1つです。
ロールアップの用途がどうであれ、展開自体を容易にし、インフラ周りを共有することで、利便性の高い環境を実現します。
OP Stackの代表的なプロジェクト
すでにいくつかOP Stackをベースにしたロールアップがローンチされていたり、開発が公表されていたりします。
以下は、その例の1つです。
- Base
- opBNB
- ZORA NETWORK
BaseはCoinbase、opBNBはBinanceが主導しています。
特に、ローンチから間もないこともあり、Baseについてはローンチ後高い成長率を記録しています。
また、Base発でFriend.techといった著名なプロジェクトも登場しています。
徐々に、OP Stackによる輪が広まりつつある傾向は見られ、今後もさまざまなロールアップが登場する可能性が高いです。
類似点や競合となりえるプロジェクトの例
これから、OP Stackと類似点が見られたり、一部で競合するかもしれないプロジェクトの例を以下から解説します。
- Arbitrum Orbit
- ZK Stack・Starknet Stack
- Cosmos
OP Stackと似たプロジェクトをチェックしていきましょう。
Arbitrum Orbit
もっとも類似性の高いプロジェクトの1つが、Arbitrum Orbitです。
OP Mainnetの競合であるArbitrum Oneの運用元が主導しています。
Arbitrum Orbitは、L2のL2であるL3を展開するために必要なものがまとめられたパッケージのようなものです。
Arbitrum OneやNovaの上にL2を構築することが可能であり、ロールアップの展開や開発が容易になります。
また、Arbitrum Orbitで構築されたロールアップ間の相互運用性も確保されており、こちらもOP Stackと類似性が見られます。
2023年6月に発表された比較的新しいプロジェクトのため、OP Stackほどの盛り上がりは見せていません。
しかし、TVLから見たL2におけるシェアでは、Arbitrum OneがOP Mainnetに2倍程度の差を付けています。
こういったエコシステムを活用したいプロジェクトが、出てくる可能性は考えられます。
ZK Stack
ZK Stackは、ZkSync Eraを提供するMatter Labs発のプロジェクトです。
ZkSync Eraの上に展開するL3、またはシンプルなZKRUのL2を展開する上で、必要なものがセットでまとめられています。
OP StackやArbitrum OrbitのZKバージョンと言えるプロジェクトです。
ZKRUは、ORUと比較して複数のメリットが見られますが、EVMとの互換性を持たないため、大きなシェアを獲得することに失敗していました。
しかし、2022年移行、EVMを持つZkSync Eraのようなプロジェクトが登場し、シェアを伸ばすことに成功しています。
このような背景から、ZK StackはZKRUを展開したいプロジェクトからのニーズを満たせる可能性があります。
Starknet Stack
Starknet Stackについても、ロールアップを展開するためのツールがまとめられたものです。
ZKRUを展開するStarknetによって展開され、アプリ固有チェーンなどに利用されることを想定しています。
Starknetは開発に、独自のプログラミング言語である「Cairo」を採用しており、Starknet Stackでも使用されます。
まだ、前述したプロジェクトと比較すると、StarknetのTVLにおけるシェア率は高くありません。
しかし、主要なプロジェクトであることは確かなので、似たようなトピックとして追っていきたいものの1つです。
Cosmos
Cosmosは、ロールアップではありません。
しかし、アプリ固有チェーンなど、用途ごとにチェーンを展開し、各チェーンの相互運用性に焦点を当てたプロジェクトです。
また、Cosmos Hubを通じた容易な接続や、共有セキュリティといった取り組みによって、チェーンを展開・運用しやすい環境が整っています。
前述したプロジェクト異なるのは、ロールアップではないということです。
Cosmosによって展開されるチェーンは必ずしも何らかのチェーンに基づいておらず、その運用方法や形態は多種多様です。
基本的に通常のORU・ZKRUはイーサリアムに基づいており、L1となるイーサリアムから強力にセキュリティの恩恵を受けています。
ただし、アプリチェーンや用途ごとのチェーンの展開を容易にし、相互運用性を確保しているという意味では、潜在的なOP Stackなどの競合です。
OP Stackについてまとめ
この記事では、OP Stackについて解説しました。
OP Stackは、まだまだスタートしたばかりのトピックであり、水面下で開発が進んでいたBaseといったチェーンがローンチされつつあります。
今後著名な企業やプロジェクトからのロールアップが登場する可能性は高いです。
Baseのような事例があることも踏まえると、今後も注視したいトピックです。