SBT(ソウルバウンドトークン)とは?チェーン上でIDを表現
SBTとは移転ができず、個人や何らかの主体などに基づいたトークンのことです。
SBTによって新たな方法で、ブロックチェーン上におけるアイデンティティを表現できる可能性があり、無担保融資やDAOへの応用が期待されています。
この記事では、そんなSBTの概要や特徴、考案されている利用例などに付いて解説しています。
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SBT(ソウルバウンドトークン)とは?
SBT(ソウルバウンドトークン/Soul Bound Token)は、移転ができないトークンです。
SBTのうちSoulは魂を表し、Soul Boundというのは魂に基づいた・魂に束縛されるといったことを意味します。
SBTは、DeSoc(分散型社会)の基盤となる存在として注目されており、すでに開発がスタートしている類似のプロジェクトがいくつか見られます。
一方で、NFTなどと比較すると開発やエコシステムの成熟が進んでおらず、利用方法などが模索されている状態です。
分散型のソーシャルメディアや大規模なDAOなどが登場している中、今後大きなトレンドを生む可能性があります。
NFTと比較したSBTの特徴
SBTの特徴を探る上で、NFTと比較しながら解説していきます。
SBTとNFTを大きく分けるのは、移転の可否です。
前提としてSBTとNFTには、類似点があります。
それは、両者とも代替性を持たないという点です。
そのため、NFTはデジタルなデータや何らかの要素を含んだアイテムを表現することに用いられています。
上記の特性によってNFTアートといった文脈で、数百万円で取引されるようなトークンも出てきました。
一方で、SBTはNFTと違って移転・転送することができません。
つまり、売買や譲渡ができないという特性を持っています。
そのため、SBTではNFTを応用したID系のソリューションと比較して、より強力に自身のアイデンティティや履歴を表現・証明可能です。
SBTの利用例
SBTの模索されている利用例・可能性について、以下のポイントから解説していきます。
- DAOへの応用
- エアドロへの応用
- 身分署名書に近い役割
- クレジットや信用履歴と無担保融資
アイデンティティの証明・記録や、転送の可否が具体的にどのような可能性を生むのかをチェックしていきましょう。
DAOへの応用
SBTの利用例として、最もイメージしやすく挙げられやすいのがDAO(分散型自立組織)への応用です。
DAOとは、何らかの特定の主体や管理者が存在しなくとも、自立して運用される組織を指します。
分散型のプロジェクトにおいてDAOは幅広く採用されています。
例えば、L1ブロックチェーンの仕様変更や、大手DeFiの仕様変更などが、DAOの投票によって決定されるケースも多いです。
ただし、DAOの投票力を左右するのは、トークンの保有量であることが一般的です。
これは、さまざまなところで弊害を発生させています。
資金力の多い主体に投票力が集まっており分散性が実現していないという指摘があったり、投票力を左右する尺度として十分ではないという指摘が多いです。
一方で、転送・移転ができないSBTを活用しSBTに基づく投票などを行うことで、資金力だけではない別の尺度でDAOの意思決定が行える可能性があります。
エアドロへの応用
もう1つ挙げられがちな代表的な利用例が、エアドロ(エアドロップ)などへの応用です。
エアドロとは、何らかのプロジェクトがトークンを発行する際に、利用者・コミュニティ対して配分を行うことを指します。
エアドロの対象者を選定する基準にはいくつかの問題があり、主要な課題として知られています。
エアドロは、アクティブに利用していたウォレットに限定して配布されることが一般的です。
一方で、アクティブな利用履歴があるウォレットを複数作成すれば、1つの人物・主体に多額のエアドロが与えられてしまいます。
上記の対策として、別の認証を用いることがあります。
ただ、現時点で主流な方法では、移転・譲渡が可能だったり、中央集権的な主体を用いたものに限定されていたりと不完全です。
SBTによるアイデンティティ証明を基盤としたものを活用すれば、エアドロの対象者をより厳密に選定できる可能性があります。
クレジットや信用履歴と無担保融資
まだ、成熟したプロダクトは見られないものの、SBTによる信用履歴と無担保融資についても可能性として考案されています。
無担保融資というのは、担保が無い状態で行う融資のことです。
現時点でのDeFiでは、無担保融資を行うことができません。
なぜなら、無担保融資を行う場合、借りる主体に一定の信用履歴が必要です。
信用が確保されていない状態で無担保融資を行ってしまうと、貸し出した資金を返してないもらえない可能性があるためです。
現時点のDeFiの利用は、ウォレットを活用します。
しかし、ウォレットを用いて個人情報や信用履歴を証明・表現することはできません。
SBTの特性を活かし信用履歴に近いものを証明できれば、DeFiにおいても無担保融資ができる可能性があります。
身分証明書に近い役割
来歴や身分の証明に対しても、SBTは利用できる可能性があります。
例えば、教育機関が卒業した生徒に対してSBTを発行すれば、技術的にはブロックチェーン上で学歴を証明可能です。
このような来歴・学歴はもちろん、パスポート・運転免許証に近い身分証明書を、SBTを通してブロックチェーンに持ってこれる可能性があります。
具体的なソリューション・プロジェクトはまだ出てきていません。
ただし、現在の社会で上記のようなアイデンティティの証明・表現が重要なように、DeSocc(分散型社会)においても重要な存在になる可能性があります。
SBTを活用したプロジェクトの例
すでにSBTに似た仕組みや、SBTに近いトークンを発行しているいくつか例が存在しています。
一例として、以下の2点から解説していきます。
- BinanceによるSBTの発行
- ゲームキャラの属性をSBTで表現
SBTの実際の使われ方をチェックしていきましょう。
BinanceによるSBTの発行
大手仮想通貨取引所であるBinanceは、BABというSBTの1種を発表しました。
BABというのは「Binance Account Bound」の略で、Binanceアカウントに基づいたSBTです。
BABの大きな特徴はBinanceのアカウントを通して、発行に伴ってKYCが必要な点が挙げられます。
BABを保有しているウォレットは少なくとも、KYCを完了している主体によって管理されていることになります。
また、名前の通り、発行と削除の権限はBinanceアカウントによって制御されている仕様です。
別のウォレットにBABを転送したい場合は過去のBABを取り消して、新たに発行する必要があります。
ゲームキャラの属性をSBTで表現
自身が保有するゲームキャラやアイテムに付随する要素を、SBTで表現するという試みも見られます。
具体的には、ゲーム内における経験値や何らかのスキルといった要素をSBTで表現し、プレイヤー固有のものにします。
従来のBCG・GameFiの多くは、上記のような要素がNFTによって表現されていたため、移転が可能でした。
これは、資金力が多い主体が勝ちやすい・効率的に進めやすいといった環境を産みます。
一方で、SBTで表現することにより、上記のような枠組みに縛られないゲームシステムを設計できる可能性があります。
厳密には、ヴィタリック・ブテリン氏などが提唱しているSBTとは異なるものの、Skybreachなどが類似のシステムを志向しています。
SBT(ソウルバウンドトークン)についてまとめ
この記事では、SBTについて解説しました。
SBTはまだまだ提唱されてから日が浅い分野であり、さまざまな提案・可能性が模索されている状態です。
ただし、ブロックチェーン上の活動における諸問題を解決できるポテンシャルは持っています。
新たなトレンドを生む可能性もあるため、乗り遅れないためにも類似のプロジェクト・ソリューションには注目していきましょう。
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